人間は、自分とは一体何者なのか、何のために地上にいるのか、どういう人間になればよいのかということを十分に理解することによって、自分で自分を救うことができるようになります。すなわち、自分が霊的宿命を背負った霊的存在であることを認識することこそ、絶望の淵にいる無数の人間にとって大いなる希望になるのです。
モーリス バーバネル
神聖な霊の世界に最大限の敬意を
霊の世界は死に関わることだけに、恐怖を感じる人も少なくありません。誰もが遅かれ早かれ必ずたどり着くところにも関わらず、ダークなイメージにとらわれるあまり目を背けがちです。
しかし、多くの人が抱く先入観とは異なり、一般的な心優しい人々が死の扉を開けた時、目に入るのは誰もが驚嘆するほどの圧倒的な光と美にあふれた世界です。決して薄ぼんやりとしたところではなく、地上以上に色彩豊かな自然環境が広がり、花々からは大変濃厚な芳香が漂い、地上にはない植物もあり、周囲の全てが心に深い安らぎをもたらします。
そして、同じ霊性の極めて気の合う人同士が同じ界層で生活を共にするため、煩わしい人間関係のストレスもありません。さらに、私利私欲に満ちた施政者もおらず、経済問題も健康問題も皆無で、助け合いの精神にあふれた愛のみが存在します。死後の世界は無知でいることが恐怖心を招き、知れば知るほど恐怖心など完全に吹き飛びます。
霊の世界の住人の助け合いの精神は、地上に生きる人々にも向けられます。ここで知っておきたいことは、霊の世界と地上世界の波長の法則で、私たち人間は誰しも無意識のうちに霊の世界から自分と同調する霊を引き寄せ、人生に大きな影響を受けるということです。
善なる心を持つ人は善なる霊のみを引き寄せ、人生のあらゆる場面で支援と導きを受けます。反対に邪悪な心、不純な動機で行動する人は、自分が満足感を得るためなら誰かに迷惑をかけたり人生を破滅させることさえ厭わない邪悪な霊を呼び寄せ、犯罪や依存的な行為をそそのかされるなど、人生に暗い影を落とします。
霊的なことに関わる人で良くない例をあげると、たとえば心霊スポットを巡って恐怖心をあおって世間から注目を得ようとしたり、霊能力もないのに霊能者や霊媒師と名乗って活動したり、開運とかご利益という言葉を吹聴して、確信もないのに偽りの効能でパワースポットなどを紹介しているような人は、自分がどんな世界の誰をそばに呼び寄せているのか、全く理解していないからできることです。本来、人間には良心という正しく生きる指針が誰の心にも備わっていますが、私利私欲が良心を勝ると大きな過ちにつながります。
実際に、遊び半分で霊的世界を弄んでいたら、ある日、突然変なことを言い出して、明らかに人格が変わって精神に病を患ってしまったという人もいます。何が起こったかというと、身体を取り巻くエネルギーフィールド(オーラ)に、自分と同調する偽善心と悪意のある霊に侵入されてしまったのです。
霊の世界は全生命の源であり、無数の魂が暮らす極めて神聖な世界です。その世界に何らかの形で手を伸ばすなら、最大限の敬意が必要なのです。そうした敬意のもと霊的世界に心を開くと、自動的に霊的に高い進化を遂げた霊(高級霊)の保護下となり、怖いことは絶対に起こりません。
また、霊的無知は地上人生だけでなく、死後の世界でも自らの身に危険を招いたり、周囲の人に多大な迷惑をかけることにつながりかねません。次にその実例をご紹介します。
死後のお迎えを拒否したばかりに・・
生命には、消滅という意味の死は存在しません。死は地上人生の終焉と同時に、霊の世界での新たな人生の始まりを意味します。その単純不変の霊的真実を、どうしても受け入れられない人が少なからずいます。
死後も自分が他界したことを頑なに拒否するなど、様々な理由で天国にいかず地上界をさまよい続ける人たちのことを、地縛霊(earth-bound spirits)と呼びます。いずれも霊的無知が主な原因です。
霊界側には、 多大な自己犠牲を払いながらこうした気の毒な霊を救う活動を組織的に行っている霊団がいくつも存在します。かつてアメリカに、その中の高級霊団の一つ(Mercy-band)と協力し、30年以上に渡り地縛霊の救済に尽力したウィックランド夫妻という方がいました。
随分前に別の記事でもお二人の活動をご紹介したことがありますが、夫カールは精神科医で妻アンナには霊能力がありました。その夫妻の元にある日、リリアンという地上人生で女優をしていた霊が現れました。彼女は死後、天国からきた友人たちのお迎えを頑なに拒否し、地上世界をあてもなくさまよっていました。
また人は死後、完全健康体の霊体になるので、痛みを全く感じないにもかかわらず、リリアンは手足の痛みを訴えていました。精神科医のカール ウィックランド博士は、妻で霊能者のアンナの協力の元、そんなリリアンに優しく諭し始めます。
カール:最後に覚えていることは何ですか?
リリアン:とても病んでいました。痛みがひどくて・・・
カール:死後、急によくなりませんでしたか?
リリアン:いえ、永い間寝ていたような気がして、それが今なんとなく覚めていきつつある感じがします。何もかもが変です。
カール:それはご自分がおかれている状況が、理解できていないからです。もう痛くない、と自分に言い聞かせれば痛みは消えます。地上時代とは事情が違うのです。周りに知り合いはいませんか?
リリアン:とっくに亡くなったはずの親友の姿がたくさん見えることがあります。目を覚ましなさい!と言ってくるんですが、私は見たいとも思いません。私は頭がおかしくなったのでしょうか?
カール:死後の世界を理解しようとしない、その心構えが現状の理解を邪魔しているんです。
リリアン:私は怖いんです。あの人たちにそばに来てほしくありません。
カール:あなたは死んだ人間なんですよ。
リリアン:私は死んだ記憶はありません。
カール:なぜ、みんなが目を覚ましなさいと言うのかわかりますか?あなたは霊的に居眠りをした状態だからです。
リリアン:女優仲間だったアンナ(かつて地縛霊だったが過去にウィックランド夫妻に助けてもらい、リリアンを助けにきた)も私を呼んでいます。でも彼女は死んだはずです。ウィリアム ステッド(タイタニック号の沈没時に乗船していて1912年他界)や、エドワード七世(イギリス国王・1910年他界)も見えます。私のファンだった方です。みんな私に「おいでよ」と言ってくるのですが、私は「まだ死ぬわけにはいかない!」と言い返しています。
カール:あなたはもう他界されているのですよ。そのことを理解していないから、友達の言っていることも理解できないんです。あなたは今、霊体をお持ちです。
リリアン:人は死後も生きているのでしょうか?
カール:生きてますとも!
リリアン:私を迎えにきてくれた人たちは皆、現実味があります。
カール:霊の世界の人は、地上の人間よりも現実味があるんです。ここを出ていく時は、お友達と一緒です。あなたがその怖がる気持ちさえやめれば、いつでもいけます。
リリアン:誰かが来ました。また一人来ました。私においでと言っています。とても美しいものが見えてきました!なんて美しいのでしょう!夢としか思えません!
カール:それが霊の世界の美しさです。
リリアン:あの丘の上の美しい家を見て下さい!あの素敵な歩道、美しい湖、一面に咲いているあの素敵な花々!私もあそこに行けるんですか?
カール:あなたの心にある拒絶心や反抗心さえなくなれば行けますよ。
リリアン:あそこに行ったら、これまでにできなかったことをするつもりです。なんて素敵なのでしょう!あそこが天国ですか?
カール:そうです。でも、キリスト教のいう天国とは違いますよ。地球を取り巻いている霊の世界です。
リリアン:教会はそういうことを教えてくれませんね。
カール:教会には霊性がなく信仰を押しつけているだけで、死後の生命についての知識を教えてくれません。本当は霊的知識が一番必要なのです。もしもあなたが霊的知識を知っていたら、死後目覚めた時に、迎えてきてくれたお友達のいうことを素直に聞けたんです。あなたはここを去ったら、大勢の人に迎えられて、素敵なお家に案内されます。何もかも新しい霊界の実情にわくわくすることでしょう。もう大丈夫です。
リリアン:ありがとうございます。みんなが呼んでいます。どうしたらあそこへ行けますか?
カール:思いこそ自然界の解決者です。思念を使ってお友達のところに行ったつもりになってみて下さい。それだけで行けます。思念の焦点をあちらに移すのです。自分はあそこにいる、と念じてみて下さい。
リリアン:霊的に目覚める機会を与えて下さって、本当にありがとうございました。
◎これは霊的無知が原因で、死後、地縛霊になってしまう典型的な例です。リリアンは、ウィリアム ステッドがいると言っていましたが、彼はタイタニック号沈没によって他界するまで霊的知識普及に人生を捧げた人です。そんな専門的な知識がある人でも、リリアンを救済することはできませんでした。とにかく、霊の世界は本人の自覚が最優先されるため、霊的世界に身を置きながら、心に死後にも生命が存続することを受け入れる余地のない人には、天国から迎えに行った家族や友人は、困り果ててしまいます。
リリアンはウィックランド博士の言葉を受け入れ始めた途端、天国の風景が視界に飛び込み、驚嘆していました。初めから霊的世界に心を開いていれば、死の瞬間がある日突然きても、自殺した場合を除き、新しい世界への順応が大変スムーズで、すぐに深い安らぎと凄まじいほどの幸福感に包まれます。
リリアンの場合は、まだ性格が素直で比較的スムーズに解決しましたが、中には非常に頑固な霊もいて、「あなたはもう死んだんですよ」と丁寧親切に繰り返し伝えても、頑なに拒絶し、援助する人に怒りをぶちまける霊もいます。
人は死後、時間の感覚が完全になくなるので、頑固な霊の場合、本人の気づかないうちに死後何十年、何百年も地上をあてもなく徘徊することもあります。霊体の目が開ききっていないので、彼らにとっては暗闇の中をわけもわからずさまよっているも同然です。
さらに厄介なのは、そうした霊が徘徊しているうちに、同じ波長を放つ地上の人間のオーラの中に入り込んでしまうことがあることです。中には全く無意識のうちに入り込んで、地上に生きる人の人生に多大な迷惑をかけることもあります。霊が地上の人間のオーラに入り込むと、救済を目的とした霊団の援助も困難を極めます。このことはまた次回以降お伝えします。
たとえ王でも・・*死後はみんなと同じ一人の人間
リリアンは最後に、迎えにきてくれたエドワード7世(在位1901~1910)からのメッセージを伝えました。
私は地上ではエドワード王でしたが、今はただの一人の人間すぎません。まだ王だと思っている人もいますが、霊の世界ではもう貴族でも王家の血筋でもありません。母はビクトリア女王でしたが、今はもう女王ではなく、地上にいた時よりも人々のために活動しています。母は人間としての義務を怠り、生前なにもかも人に世話をさせました。責任をとることもしませんでした。母も私も、生命の実像を学ぶために、天国では人のために役立つ活動をしています。
◎地上の社会的肩書、地位、名声、財産は、霊の世界では全く意味をなさず、立場に関係なくどう生きたのか、それだけが何よりも大切であることを物語っています。
そして、人は霊的法則によって、必ず地上人生の行為のバランスをとることになります。ビクトリア女王やエドワード7世は、まさに死後、自分の一生分の行為を清算すべく、人々のために奔走しているわけです。
私たちは永遠に生きる霊的存在であり、地上は一時的な旅先、留学先にすぎません。にもかかわらず、名声や地位、物的財産に執着しすぎて、それらを自己顕示欲や私利私欲を満たすために生涯を費やすと、結局は死後、極度の霊的貧困層に陥り、深い悔恨と共にその行為の清算に奔走することになります。
反対に、人を思いやる心を忘れずに生きれば、永遠に失われることのない豊かな霊的財産を保持しているも同然で、その高い霊性に適合した天国の美しい界層で、全身にみなぎる幸福感を絶えず感じながら、暮らすことができます。
なお、死後の世界で使用する霊体は、個々の精神性が全て反映されます。衣類は身に着けていますが副次的なもので、誰の目にもその人の心が明瞭になります。自分という人間を偽ることは、誰もできません。全ての人が、ありのままの自分で生きることになります。
霊的知識が死後も人生を明るく照らす
かつて、20世紀に50年以上に渡り、高級霊シルバーバーチが霊能者モーリス バーバネルを通じて交霊会にて霊的知識を伝えた際、ホームサークルといって常時10人から15名の人が集まり、その貴重な霊言に耳を傾けていました。
地上と霊界の波長の法則によって、邪な心を持った人がサークル内にいると、悪意を持った霊が引き寄せられ交霊会を邪魔されかねないため、霊界側が参加者の人間性を事前に確かめ、厳選していました。
また、シルバーバーチの交霊会は、サークル内のメンバーだけでなく、天国の低い界層に暮らす約5000名もの霊が、毎回耳を傾けて霊的知識を学んでいました。地上時代の霊的無知によって死後暗い界層に否応なしに導かれた人たちを、霊的に教育する機会でもあったのです。このように、地上人生で霊的なことに心を閉ざしていた人は、死後の世界で一から学ぶことになります。
人間、誰にとっても人生はたやすくありません。十分、つらいことも多い地上人生を終えた後、霊的知識がないためにあてもなく暗闇をさまよったり、愛する人と再会できなかったり、地上に生きる人に悪影響を与えることなど、誰一人あってはいけません。基本的な霊的知識を持ち、周囲の人に善意で生きていれば、地上人生を全うした人全員がリリアンが見たような美しい光景の中にすぐに身を置き、愛する人と共に暮らしながら最高の幸せを享受できます。
次回の記事でも、霊的知識がいかに死後を含めた人生に安心を呼び込むのか、詳しくお伝えします。
今日も最後まで希望発見ブログをお読みいただき、本当にありがとうございました。
いつも記事を読んで下さっている読者の皆様に、心から感謝しています。
Your soulmate friend,Lani
参考文献等:シルバーバーチの霊訓(潮文社)、ベールの彼方の生活(潮文社)、インぺレーターの霊訓(潮文社)、これが心霊の世界だ(潮文社)、こころが安らぐ本(大和書房)、こころが満たされる本(大和書房)、私はできる!(サンマーク出版)、すべてうまくいく(角川書店)、人生をもっと幸せに生きるために(河出書房新社)、パワーオブ・ザ・ソウル(JMAアソシエイツ)、迷える霊との対話(ハート出版・本文中の交霊の様子を引用)