霊的なことは常に理性を忘れずに
前回の記事では、タニタニック号の海難事故による犠牲者の一人、ウィリアム ステッド氏による霊界通信を元に、死の直後の様子や最初にたどり着いた場所「ブルーアイランド」についてお伝えしました。
ブルーアイランドは天国のほんの一部にすぎず、その他にも多くの界層があります。こうした霊的事実は、霊界通信を読む時などに、予め知っておきたい知識です。
死後の世界には個々の霊的成長に適合した無限の界層・境涯があり、一人の霊が語ることができるのは、その霊がその時点で霊的に到達したところまでの知識ということになります。その霊がさらに霊的に向上し上の界層に進めば、より多くの知識を得ることになります。
ですから霊的(スピリチュアル)な書物や体験談に触れる時は、無条件に全てを信じるのではなく、理性を持って注意深く理解に努める必要があります。
ウィリアム ステッドは生前、霊能力(自動書記)があり、自ら積極的に知識の収集と普及に努めた人でした。彼がずっと気にしていたのは、その内容は本当に全て正しいものなのかということです。彼は死後、こう語っています。
私はブルーアイランドに来てみて、地上時代に得た霊的知識が100パーセント正確であることを知って驚き、かつ感動しました。そうと知った時の満足は格別でした。学んでいた通りなので、驚きと喜びを同時に感じたのです。実際にこちら側に来てみて、まさかと思えるほど現実であることを知り、満足したわけです。
今回もウィリアム ステッドの言葉(色枠内)に耳を傾け、死後の世界の実像を皆様と共有致します。
愛の念こそ、最強のエネルギー
地上にいる私達からの祈りは、天国にいる人にどのように届くのでしょう。
地上の人が天国にいる親密だった人のことを強く念じると、その念は生き生きとして活力あるエネルギーとなり、電波と全く同じように宙を飛び、間違いなくその霊に届き、その念を瞬時に感じ取ります。天国へ来ると、感覚が地上時代よりも遥かに鋭敏になっていますから、地上からの思念は直接的に感知され、そこに親密な連絡関係が出来上がります。
◎他界した直後にたどりつく界層「ブルーアイランド」は、地上の波長に大変近く、天国の高い界層にいる人達よりも、地上の人間の思念のほうが遥かに届きやすくなっています。
地上からの愛ある祈りは、色彩を帯びたロウソクの光のような形で天国へ届きます。それは受け取った人にとって最高の喜びであり、その喜びが深い安心感と幸福感につながります。他界後、新しい環境に身をおいた人にとって、地上の家族や友人からの愛のこもった祈りほど、ありがたいものはありません。
霊界側へ来てから地上の愛する家族や友人への未練が強すぎると、かえって寂しい思いをさせられることがあります。彼らはまさか自分が死後も生き続けているとは思わず、この宇宙から消えてしまったと考えています。だからこそ、地上の家族の元に行って、何とかして自分の存在を知らせようとしますが、気づいてもらえず、そのことがかえって寂しさと悲しみを増す結果となり、次第に地上の家族らが他界するのを待つしかないと考えるにいたります。実際には私達は地上の人々にしきりにはたらきかけています。
◎この世に生きる人たちが、死後の実像をできるだけ理解することが、他界された方の大きな心の慰めとなります。
親は他界後も地上の子供の面倒をみようとするものです。この動機は愛です。愛さえあれば、摂理に従って可能な限りの援助を致します。霊界と地上世界とは皆様が想像しておられる以上に緊密な関係にあるのです。
◎親子に限らず愛ある関係の人たちは、死によって何ら絆が弱まることはなく、より一層強固になります。
なお、犬や猫など人間に愛情を注いでもらった動物も、死後もその愛を忘れることは決してありません。人間の愛は動物の霊的進化を大きく促進します。動物にとって愛情を注いでくれた人は最大の恩人なのです。
愛は人間同士だけでなく、人間と動物の天国での再会も可能にします。
天国は思念の世界
ブルーアイランドでは地上の人間と同じように、各地を尋ね歩いたり、探検したり、動物や植物の生命を研究したりします。かつての友人・知人を探し求めたり訪ねたりもします。
◎「尋ね歩く」とありますが、天国では思念を使い行き先や会いたい人をはっきりイメージすることによって、瞬時にどこへでも移動できます。やり方は他界直後に必ず教えてくれる人がいて練習するので、すぐにできるようになります。
地上の習性を捨てていく過程は実にゆっくりしています。こちらでの生活を重ねるにつれて、それまで大事にしてきたものが何の意味もないことに気づくようになるばかりでなく、やがて邪魔くさいものに思えてきます。その段階に至って初めてその習性にまつわる意識が消えるわけです。
たとえばタバコを吸う習慣が無くなるのは、タバコが手に入らないからではなく、タバコを吸うのはいけないと思うからでもなく、吸いたいという欲求が無くなるからです。食べるという習慣も同じです。無くても何とも思わなくなるのです。こちらでは疲れるとかお腹がすくということがありません。日がくれるという現象も生じません。いつも明るく、いつも元気で、はつらつとしています。
◎天国では何でも思念一つでつくりだせます。地上人生でタバコやアルコールを嗜んでいた人は自分で作り出りだし、とことん楽しんで精神の中にある欲を消化していきます。
食事についても、地上人生の習慣で必要だと思っている間は、霊体に肉体と全く同じ臓器が残っていますが、不要だと気づくと次第に消えていきます。
ブルーアイランドではこのように、徐々に地上時代の習慣を少しずつ捨てていきます。どれくらいかかるかは一人一人全く異なります。霊の世界は精神の世界であり、本人の自覚が全てです。
ブルーアイランドを卒業後、待ち受ける本当の幸せ
地上世界は、鍛錬を目的として設けられた世界です。物的な富を蓄えて満足するのも結構ですが、それだけで終わってはいけません。自分の本当の個性を見極め、自制しながら発達させることを怠ってはいけません。あなたの今の霊性そのままが死後のあなたの姿と環境に反映します。死後まとう霊的身体は、その地上生活でつくりあげるのです。
◎魂(精神)の中の善性が強い人ほど、霊性が高くなります。他界後使用する霊体は、霊性がわずかな誤差もなく完璧に反映され、光輝となって現れます。また霊性が同じ程度の人同士が同じ境涯で暮らします。
天国でどんなところに導かれたいのか、どんな人に囲まれて過ごしたいのか、それは自分の生き方次第です。
死後の世界について学ぶことは、地上人生の生き方について学ぶことと一緒です。なぜなら二つの世界には密接な関係があるからです。霊界通信には、先に地上人生を終えた先人の失敗と成功、後悔と満足がたくさんつまっています。私たちがその叡智から少しでも学ぶことが、人生を後悔なく生きることにつながるだけでなく、この世がより暮らしやすい社会になり、また一生を終えた後、深い後悔にさいなまれ続ける人を減らすことにつながります。
例をあげると、世の中には他者に強い偏見や差別意識を持っていたり、暴力や誹謗中傷で意図的に人を傷つけたり、周囲の人に高圧的な言動を繰り返す人がいますが、それが死後暮らす環境にどう影響するかを知れば、考え方や態度が一変することでしょう。とても薄暗く臭気に満ちた環境に導かれ、世界中から同じような一生を送った人たちと共に暮らすことになります。
ブルーアイランドはあくまでも過渡的な世界です。新参者が霊的環境に順応することを目的として用意されたもので準備が整うと、本格的な霊の世界へ進んでいきます。そこには地上生活での生活期間など比較にならない永続的な生活が待っております。
◎ブルーアイランドは、霊的な世界に順応するための一時的な滞在場所に過ぎません。次第に様々な欲望を消化していくと、霊的本能が目覚め、誰かのために自分を役立てたいと願うようになります。
それまでブルーアイランドで自分の好きなことだけをして満足感を得てきた人たちが、次第にそれは本当の幸せではないことに気づきます。するとさらに上の界層に進みます。実はそこが真の天国の始まりです。
なぜなら人は、自己を忘れ誰かのために役立つことをすることによって、魂が成長し偉大さを増していくためです。他人に見返りを一切求めず愛情や情熱を注ぐことは、自分の欲望を消化すること以上に深い幸福感を感じます。助け合いの精神こそ、地上人生でも天国でも最上の徳なのです。
ウィリアム ステッドも天国で新たな活動を始めます。それは霊的無知と利己的な生き方が原因で、死後天国にたどりつけず、地上圏をさまよい続ける気の毒な霊を救出することです。次回・完結編は、その内容をお伝えします。
今日も最後まで希望発見ブログをお読みいただき、ありがとうございました。
Your spiritual friend,Lani
参考文献:ブルーアイランド(ハート出版)、天国との会話(光文社)、もういちど会えたら(光文社)、シルバーバーチの霊訓(潮文社)、コナン ドイルの心霊学(潮文社)