今回は、ある女性(シデル)が、霊能者ジェームズ ヴァン プラグ氏を通じて、生前アルツハイマー病を患っていた父親の霊(ジャック)と交霊する様子をお伝えします。
亡き父との再会*祈ってくれてありがとう
プラグ氏はシデルと会話を始めると、一人の紳士の霊の姿がみえました。同時に、頭がふらつく感じを受けました。天国に暮らす方が地上に戻ってくると、他界時のことをごく自然に思い出します。
霊能者は霊が思い出した感覚を瞬時に受け取ります。頭のふらつきは霊が他界した際、脳に関係のある病を患っていたことを意味します。
ジェームズ:シデル、あなたのお父さんのジャックがここにいます。お父さんは亡くなる前に頭に何か異常があったようですね。お父さんは長期間寝たきりだったんですか?
シデル:はい、父は13年間、アルツハイマー病を患っていました。
ジェームズ:どうりで頭がぼうっとする感じがするわけですね。お父さんはまだ、他界したことを全く信じられないんです。実際、今でも天国の新しい環境には順応できてないと感じています。つまり、周囲を見渡して強い不信に襲われてしまうわけです。
シデル:確かに父は、死後の世界が存在することを全く信じていませんでした。
ジェームズ:お父さんは、ロウソクを灯してくれてありがとうと感謝していますよ。
シデル:はい、父が病気の間、無事に天国へいけるように祈っていました。
ジェームズ:お父さんはあなたに感謝しています。祈りがお父さんにとって大きな手助けになりました。まだ頭が混乱しているけど、少しずついろんなことがはっきりしてきたと言っています。
◎「死後の世界など絶対にあるわけがない」と心底信じてきた人にとって、実際に死後も自分に実質感のある霊体やはっきりとした意識があることを受け入れるのは、容易ではありません。本人にとっては、絶対にありえない現実が目の前で起きているためです。
本来、人は睡眠中に毎晩のように霊体で天国を訪れ、他界後にその記憶を思い出すので、天国の環境に順応するのは難しいことではありません。しかし霊的なことを頑なに拒絶する冷ややかな精神性は、本当の自分を否定することにつながり、何の不安もなく幸せいっぱいのはずの天国での生活を、楽しめなくしてしまいます。
なお、祈りに対してだけでなく、交霊会では他界時まで看病してくれたことに対する感謝の言葉がよく聞かれます。アルツハイマー病のような病気でも霊体は全てを記憶しているため、他界後、霊的覚醒と共に深い感謝の気持ちがとめどなくあふれてきます。
自分の葬儀に参加した父親の霊
ジェームズ:葬儀は教会で行われたんですか?
シデル:はい。
ジェームズ:お父さんもそこにいました。あなた方みんなを見ていたそうです。でも、参列者の数が少なくて驚いたそうです。
シデル:父には友人がたくさんいましたが、長い間寝たきり状態でしたから、友人があまり残っていなかったんです。
ジェームズ:お父さんは、アフリカ製の毛布と写真についても何かおっしゃっています。お父さんの生涯を物語る写真を飾ったんですか?
シデル:その通りです。葬儀の時、アフリカの毛布を広げて、その上に父の一生を描いた写真を並べました。
ジェームズ:ローズとは誰ですか?
シデル:父の母です。
ジェームズ:亡くなった時、ローズが迎えに来てくれたとお父さんが言っています。随分久しぶりに会ったそうです。
シデル:ローズは、父がまだ子供の頃に亡くなっています。
◎亡くなった方が、自分の葬儀の様子を眺めていることは決して珍しくありません。この時すでに霊体のみになっていますので、葬儀に参加している人の様々な思いを受け取っています。思念の受け取り方は、先に他界して迎えに来てくれた霊(ジャックの場合は母・ローズ)に教えてもらいます。
なお、お迎えには親族や友人以外にも霊的ガイドが迎えにくることもあります。自然災害や交通事故のような突発的に見える死の場合でも、霊の世界では愛ある関係の霊が必ず未然に地上の愛する人の死期を察知し、迎えに行きます。
さらに、霊界側の医師が立ち会うことがあります。霊界側の医師とは、元々地上人生で医師だった方で、死後もなお、地上の人々の役に立ちたいと強い情熱を持つ人たちです。
霊界側の医師は、地上の人間の死の瞬間に立ち会い、霊体と肉体をつなぐシルバーコードが切れる瞬間を見届け、スムーズに天国へ旅立てるよう援助します。万が一にも何らかの異常が発生した場合は、すぐに処置します。
死後明らかになったアルツハイマー病になった理由
この後お父さん(ジャック)は、彼の事業を引き継いだシデルの兄のマークが、事業を売却することになるということと、シデルが母親と口論が絶えないことをいさめるなど、家族のことに関するメッセージを送りました。人は死後も地上の愛する人のことをとても気にかけていて、人生を共有しているのです。
最後にシデルは、父が13年間患っていたアルツハイマー病について霊的な見解を求めます。
シデル:アルツハイマーを患っている間、父の魂はどこにいたんでしょうか?
ジェームズ:お父さんはほとんど無自覚の状態で、眠っているような感じだったそうです。身体から外に出て、ベッドに横たわる自分の体や病室の人々を霊的な目で眺めていた時もあったそうです。時間と空間の感覚がなく厄介だったとおっしゃっています。
シデル:父には周りにいる霊の姿が見えたんでしょうか?
ジェームズ:ある種のエネルギー体として感じていたようですが、そういった人々が誰だか認識できたのは、亡くなってからです。他にもアルツハイマーにかかった大勢の人々が霊界から同じようなことをおっしゃっています。
シデル:どうして父は、あんな病気を体験しなければならなかったのでしょう?
ジェームズ:そう簡単には理解してもらえないだろうとお父さんがおっしゃっています。しかし、信じるかどうかは別として、お父さんはこの世に誕生する前に、すでにこの道を選んでいたそうです。カルマ的なバランスをとるためにどうしても経験しなければならなかったそうです。
◎「身体から外に出て霊的な目で眺めていた」「時間と空間の感覚がなかった」とあるので、明らかに霊体と肉体をつなぐシルバーコードが無意識のうちに伸び双方の絆が弱まってしまい、一種の臨死体験のような状態になっていることがわかります。
この状況を、本人がどれほど理解できるかは霊的知識の有無にも関係しますが、プラグ氏は最後に補足として、病気を克服して強くなり、なおかつカルマ的なリンクを断ち切って一族の家系から病気を消滅させるためにも、人は何らかの病気とかかわらなければならない場合が多い、とシデルに伝えました。
カルマとは簡単にいえば、自分が生み出した行為が自分に返ってくることを言います。しかしそれを罰ととらえるのは、大きな誤解です。いかなる病気も、罰ではありません。カルマとはあくまでも人生のバランスをとるための学びです。
たとえば、周囲の人に優しく接し愛を与え続けてきた人が、病気になって看病してもらうことで、愛を受け取ることの大切さを学ぶこともあります。
人は地上人生を送る間に、病気になってこそ魂が覚醒し、それまでとは全く異なる視点から人生を理解できることがあるのです。
仏教式葬儀を霊的視点で見つめてみれば
今回の交霊では、ジャックが他界後、自分の葬儀の様子を見ていたお話がありました。お見送りする側は、大切な人を亡くし、大きなショックで心の整理もままならない状態で、葬儀に関する様々な決断をせねばならないのが現実です。
日本では多くの方が仏式で葬儀を行い、その後火葬があります。火葬は遺族にとってつらい時間ですが、他界した方が肉体に完全に別れをつげ、意識を天国へ向けてもらうためにも、霊的にもとても重要なプロセスです。
また、仏式葬が良いか悪いかではなく霊的な真実を直視してみると、インドから中国を経て日本に伝わった仏教は、釈迦仏教とは大きく異なります。仏教に死後の世界の観念が生まれたのは、釈迦の死後です。釈迦自身は霊の存在や死後の世界を否定していたいため、信者が想像力を膨らませました。
釈迦は厳しい修行によって一切の煩悩や執着から解き放たれた世界を「涅槃(ねはん)」と呼びましたが、それは死後の世界ではなく、あくまでも心の境地を表したものです。
やがて自助努力の教えから救済思想を主流とする大乗仏教が中国から日本に伝わり、そこから多くの宗派にわかれ異なる解釈・教義が生まれ、葬儀にかかわる宗派が現れ・・・と日本仏教は本来の仏教とは異なる独自の道を歩んできました。
日本仏教にも素晴らしい教えがありますが、その歴史的な影響は避けられず、中国仏教の創作である戒名に象徴されるように、仏教の死後の世界(六道)や四十九日の最終審判など、霊的には数々の事実無根の知識が含まれています。
人は死後、第三者によって裁かれることはありません。全ての人が地上人生の生き方によって霊格が決まり、その霊格にふさわしい境涯に導かれます。中には死後、時間の感覚のなくなる天国で、ありもしない"審判”を延々と待ち続け、放浪したり休眠状態になる人もいるので、このことを知っておくことはとても重要です。
また、いざとなると戸惑いがちですが、戒名や葬儀、お墓の規模等、何かにたくさんお金をかけたからといって、他界した方の霊体(魂)や天国での環境への影響は一切ありません。
葬儀の際も、宗教関係者の方に敬意を払うのは当然のこととしても、何か特別な霊力の持ち主と錯覚してはいけません。お経でさえ、元々葬儀用に書かれたものではなく、中国の方が自国の国民に合うよう翻訳・加筆したものが日本に伝来しています。
死とは生命のサイクルのごく自然な一部です。根本的に、天国へ行くのに仲介者は不要です。
確実に他界された方に良い影響を与えられるのは、地上の家族や友人からの祈りです。祈りとは、思念を瞬時に統一し、高い波長の念に変換し霊の世界へ送る行為です。祈りの念は他界された方の霊的覚醒を促すだけでなく、高い波長の念に感応した天国にいる援助グループ(霊団)を呼び寄せます。
そのため、祈ってもらった人にとって、霊的世界に順応するための大変大きな援助になります。形式的な祈りではなく、自分なりに心を込めて自分の言葉で祈ることがとても大切です。
祈る際は心落ち着くまで深呼吸を繰り返し、目を閉じて祈りの対象とする方の最も元気な姿を思い描きましょう。心で思っても声に出しても、必ず祈りの念は届きます。
今日も最後まで希望発見ブログをお読みいただき、ありがとうございました。
Your spiritual friend,Lani
参考文献:人生をもっと幸せに生きるために(河出書房出版)、もう一度会えたら(光文社)=本文交霊会の様子を引用、天国との対話(光文社)、シルバーバーチの霊訓(潮文社)、これが心霊の世界だ(潮文社)、私の霊界紀行(潮文社)、パワー・オブ・ザ・ソウル(JMAアソシエイツ)、インペレーターの霊訓(潮文社)、ベールの彼方の生活(潮文社)、霊性進化の道(潮文社)、こころが満たされる本(大和書房)、こころが安らぐ本(大和書房)、お坊さんが困る仏教の話(新潮社)、ブッダの生涯(河出文庫)