自分を人のために役立てましょう。あなたの住むその世界のために役立てるのです。世の中を明るくするために役立てるのです。人の心を思いやり、優しくいたわり、気持ちを察してあげて下さい。同時に、邪悪なものに対しては敢然と闘って下さい。
シルバーバーチ
死後導かれる界層*そこは類は友を呼ぶ世界
前回の記事では、目に見える物質的な身体=肉体と、目に見えざる霊的な身体=霊体の関係性を中心に、死の瞬間の実像をお伝えしました。今回は、死の直後に始まる生活の場の特徴をお伝えします。
地上世界と天国の大きな違いは、地上では様々な霊性(人間性)の人が地球という同じ空間に混在して暮らしているのに対し、天国には、一人一人の霊性に適合した生活の場が無数に存在していることです。その無数にある生活の場を界層と呼び、高い霊性の界層が低い界層を包括しつつ地球と幾重にも重なり合っています。
生命の本質は非物質的なものと前回の記事でお伝えしましたが、肉眼には映じない五感を超えた壮大な生命の世界が、私たちが暮らすすぐ身の回りの大気中に広がっているのです。
肉体と霊体を一生の間結びつけていた生命のひも・シルバーコードが死によって切れると、意識が役目を終えた肉体から霊体へとうつります。エネルギー体である霊体は、肉体とそっくりで触れることもでき、はっきりと実体感があります。
霊体には一生分の言動が完璧に記録かつ反映され、特有の周波数を発しています。思いやり、愛に生きた人ほど周波数は高くなり、利己的、暴力的、独善的に生きた人ほど、周波数は低くなります。
人間は神の分霊であり、神性を帯びた霊的存在です。私たち一人一人の魂には、動物的進化の名残りである下等な欲望や感情がある一方、神の属性である愛が内在しています。日常生活を私利私欲や横暴性のような最低のもので満たせば、霊的進化は堕落し、最高のものである愛で満たせば、霊的進化は大いに促進されます。
死後、無数にある界層の中から地上人生でつちかった霊性を携え、あなたは自分自身の霊体の周波数に完全に適合した界層に導かれます。
そこはもう全てが霊的な世界で、地上時代の国籍や人種は関係なく、社会的地位や物的財産も全く意味をなしません。信仰心の有無も、霊性の高低には全く関係ありません。何を信じて生きてきたかではなく、どれほどの優しさ、思いやり、愛を日常生活の中で実践できたのか、その量によって霊性が決まるからです。
死後暮らす界層には、あなたの霊体と同じ周波数の人だけがいて、そこには絶対的な親和力の法則が適用されます。まさに類は友を呼ぶ世界で、あなたと本質的に同類の人のみがいます。
多くのごく一般的な心優しい人は死後、高い界層にたどり着き、周囲の人は同じように親切な人ばかりです。心優しい人が暮らす界層は、一人一人が発する愛の念が環境にも反映され、眩いほどの光輝に照らされ、安らぎの大気がそこに暮らす住人の圧倒的な幸福感につながっています。
反対に周囲の人に威張り散らしたり、暴力や詐欺などの犯罪行為で意図的に誰かを傷つけて反省の心も皆無な人は、低い界層に導かれ、周囲には同様の人間性を持つ人だけがいます。
低い界層ほど漆黒の闇に包まれ、耐え切れぬほどの悪臭が大気に満ちて、そこに暮らす人たちは、あてもなく自分の欲望を満たす何かをさまよいながら探し続けます。
なお、霊の世界において、愛は魂と魂を引き寄せ合う最大のエネルギーとなり、地上人生でお互いに深い愛で結ばれた人同士は、必ず再会できます。お互いの霊的レベルが一致しない場合は、霊性の高いほうが低いほうに合わせることになります。
上のレベルの界層から下のレベルの界層には、いつでも行くことはできますが、通常誰かを援助したり愛する人に逢いに行く目的でもない限り、自ら好んで行く人はいません。また、下のレベルから上のレベルの界層に行くには、自分が暮らす界層で上の界層にふさわしい霊性を身に着けない限り、絶対に立ち入ることはできません。
このように、天国には圧倒的な光と安らぎに満ちた幸福感みなぎる界層から、身の毛もよだつような暗黒の界層まで、各自の霊性に適合した無数の界層が存在します。
この世の生き方が、死後導かれる生活の場と密接な関係があるという霊的真実が広く認識されれば、地上社会は戦争や暴力行為、あらゆるハラスメント、差別、いじめが影を潜め、もっと安全で思いやりあふれる世界になるかもしれません。
天国では、誰一人自分を偽ることはできない
霊体の大きな特徴の一つは、地上人生で培った人間性の全てが完璧に反映されることです。隠そうと思えば人間性を隠したり偽ることのできる地上と異なり、霊体は人格が丸裸の状態になります。天国でも衣類は身に着けるものの、霊体に反映された霊性は霊体を取り巻く色彩を持つエネルギーフィールド(オーラ)となり、誰の目にも明らかになります。
全ての人がありのままの自分で生きることになるのですが、天国では誹謗中傷が飛び交うようなことはありません。地上人生でいかなる失敗や挫折をした人に対しても、よほどの低い界層を除いて個人攻撃をするようなことは誰もしません。もう生存競争の一切ない世界です。いじめやハラスメントのような陰鬱な行為は、存在しません。
霊の世界での人々の関心は、自分自身の霊的成長と進化にあり、霊性の弱い部分を克服して霊的成長を得ることで、今暮らしている界層よりもさらに上の界層を目指していきます。それは霊的本能であり、死後、新たな環境に慣れて次第に精神が霊的に覚醒していくと、誰しも成長を求めるようになります。
霊体は霊的成長と共に精妙化し、霊体が発する光輝も強くなり、より高い周波数を発するようになります。すると、上のレベルのより幸福な界層に自動的に行けるようになります。
各界層における周囲の環境は、霊性の高さに比例して美しくなります。地上と同じように、山や川、湖、森など豊かな自然が存在し、地上に存在しない植物もたくさんあります。
まず死後気づくのは、気持ちの隅々まで落ち着きと安らぎを感じさせてくれる自然からの深い芳香です。もう五感に縛られることもないので、地上で感知していた以上の色彩を楽しむことができ、地上世界とは比較にならないほどの圧倒的な自然美を堪能できます。
地球を含めた全ての界層の自然は、最高位の界層から発せられる霊的エネルギーが顕現したものです。そのため、上のレベルの界層ほど、濃密な霊的エネルギーによって自然が構成され、それに比例して環境も美しくなるわけです。
三つの依存症を死後の世界に持ち越した女性
界層のメカニズムをより深く理解するために、ある女性(アンヌマリー)の死後の出来事をお伝えします。アンヌマリーは生前、物への執着心が異常に強く、家じゅうがあらゆる物にあふれ、足の踏み場もないほどでした。それだけでなく、かなりのヘビースモーカーであり、さらに毎日お酒を浴びるほど飲むような日々を送っていました。物、たばこ、アルコールの三つの依存症を抱えていたのです。その結果、二人の娘との関係性も完全に崩壊し、他界するまで絶縁状態が続きました。
アンヌマリーいわく、死後導かれたのは「低次元の暗くて恐ろしい界層」でした。周囲には、自分と同じような重度の依存症の人ばかりでした。前回の記事で、霊体は完全健康体になるとお伝えしましたが、依存症のような精神に起因するものは、死後もそのまま持ち越ちこしてしまうのです。
依存症は、あくまでも地上世界特有の病気のため、依存症を死後の世界に持ち越すと、アンヌマリーのように地上圏に近い大変低い界層に導かれます。同様に権力欲や金銭欲、または宗教的な信仰心など、地上にしか存在しないものや習慣に執着しすぎると、霊体が低い波長を放ち、低い界層に導かれます。
ただ、どの界層に導かれても向上のチャンスがあり、人は皆自分の人生を回顧し、一生分の言動が人生で関わった人にどんな影響を与えたのか、完全に相手の立場に立って振り返る機会を持ちます。アンヌマリーも死後、人生を回顧し、自分の依存症がいかに娘二人につらい思いをさせたか学びました。
アンヌマリーにとって、ここが死後の人生の運命の分かれ道です。このまま堕落して地上世界に戻り、自分と同じような依存症の人を見つけて背後から思念を送り、アルコール依存症ならアルコールをどんどんたしなむよう思念を送る人もいます。
そうやって自分の代わりに摂取させることで、満足感を得るのです。このような低級霊は自分の欲望を満たすことが最優先で、地上の人間の人生が破滅しようがお構いなしです。これは、ギャンブルの場でもよくあることです。地上にいる人は、誰しも自分と同じ本質の霊を引き寄せるためです。霊的実在に目覚めた方は、ギャンブルの場には決して近づかないことです。
アンヌマリーは自らの地上人生を深く反省し、絶対に立ち直ろうと決意しました。霊の世界ではどの界層にいても、向上を固く決意する人には、すぐに援助する人が現れます。前述したように、霊体は精神が全て可視化されるので、真摯に反省しているかどうか、本気で向上を目指しているのか、誰の目にも明らかでごまかしはききません。
彼女は依存症を治療する霊的グループに加わり、自分としっかり向き合いました。それだけではなく、グループと共に地上世界のバーやクラブを周って、若者たちに喫煙や飲酒をやめるよう積極的に働きかける活動を続けました。こうして、依存症を克服したアンヌマリーは霊性が向上したため、暗くて恐ろしい界層から抜け出て、上の界層へ行くことができました。
アンヌマリーが、若者たちに喫煙や飲酒をやめるよう働きかけていたように、霊的成長には、地上人生のネガティブな行為を真摯に反省し、ポジティブな行為によって穴埋めしていく必要があります。これは人生の真理でもあり、人間は特定の宗教の教義を信じることで救われるのではありません。何か過ちを犯したなら、人は地上人生においても自分の行為によって自分を救うことができるのです。
今現在、何らかの依存症を抱えている方は、地上人生を生きているうちに全力で克服に向けて取り組む必要があります。死後まで持ち越すと、霊体はあらゆる感情が増幅するため、克服がさらに困難になります。真摯に向上に向けて歩みだした方には、社会全体が愛を持って支援することが、霊的にもとても大切です。
天国の住宅事情*どんな資材を送るかはあなた次第
記事の最後に、天国の住宅事情をお伝えします。人は死後も、ごく普通に家で暮らします。心優しい人が導かれる界層では、死後すでに美しい家が用意されています。地上で暮らした家と同じ家に暮らしたい、豪邸に暮らしてみたい、好みの家を建てたい、というあらゆる望みは全て叶います。霊性が高ければ高いほど、行動や選択に自由がもたらされます。
死後の世界では経済活動は一切ないため、お金が存在しません。つまり、家を建てるのにお金は一切かかりません。全ての霊的物質は思念(はっきりイメージすること)で創造されます。
では、地上人生の横暴な言動などが原因で低い界層に導かれた人はどうなるのでしょう。ここである寓話をご紹介します。
ある日、地上人生を億万長者として暮らした男性が他界すると、すぐに霊の世界の教師的な存在である霊的ガイドが迎えに来て、天国を案内してくれました。その男性は、天国にある自然や住宅、建物の神々しさと荘厳さに圧倒され、心から感動しました。
そんな中、男性は気になって霊的ガイドに尋ねました。「私の自宅はどこですか?」霊的ガイドは「もう少し先です」と短く答えました。しばらく進むと、男性は辺りの様子が一変したことに気づきました。大気が重苦しく薄暗い環境になってきたのです。歩道は泥だらけで、植物はほとんどが枯れていました。
不安になった男性は、霊的ガイドの腕をつかみ「ちょっと待って下さい!私の家がこんなところにあるわけがありません!道を間違っていませんか?」と怒ったように尋ねました。「いいえ、間違っていません」霊的ガイドはきっぱりと答え、一軒の朽ち果てた小屋のような家を指し、「あれがあなたの家です」と伝えました。
男性は首を横に振り「あなたは私が誰だかわかっていないようです。私は大富豪で家を何十件も所有し召使いもたくさんいました。欲しいものは何でも手に入れることができたんです」と主張すると、男性がどんな人か全てを知っている霊的ガイドは言いました。「霊に世界では、あなたの地上人生の言動の質によって資材が送られてきます。この家はあなたが送った資材のみで造られているんです」
死後の世界では、いくらお金を稼いでいたか、高級品をどれだけ所有していたかは、全く霊性の高さには比例しません。物質的な豊かさを楽しむこと自体は結構なことですが、人生はバランスが大事なのです。
もちろん、大富豪の人が皆低い界層に導かれるわけではありません。あくまでも一例です。ただ、この世限りの物的財産に価値を置きすぎて、自分の所有物や社会的地位によって他人を見下したり、横柄な態度をとったり、権力に執着し続けるような人生を送ると、先ほどの男性のように、死後、物的財産が全く価値を持たない霊の世界で、自分が最貧困層に陥っていたことに気づきます。霊的なことに心が全く感応しないためです。
「自分こそが真の成功者だ」と自負していた人が、死後になってせっかくの地上人生を無駄にしてしまったと悟るのは、本当につらいことです。
霊体は、どんな動機で何をしていたのか全ての言動が反映されます。この男性のような”富裕層”の人は、日常生活の中で自分の地位や有り余る財産を真心から誰かの幸せを思って使えたのか、それが問われます。
死後、あなたがどの界層に進むかは、霊的に高く進化した霊的ガイドなど、他の誰かが決めるわけではありません。宗教世界でよく描かれるように、第三者があなたの人生を裁くことは決してありません。
地上人生の生き方が全てを決します。私たちは自分が自分の裁判官であり、死後どんな環境でどのような自宅に暮らすか今現在自分で選んでいるようなものです。
天国で高い界層に暮らす人とは、心優しい人です。愛に生きた人ほど偉い人なのです。家庭や学校、職場、あらゆる交友関係の中、誰かが絶望的な悲しみにいる時、途方に暮れている時、深く思い悩んでいる時、病気で辛く不安な日々を過ごしている時、または見ず知らずの人が困っている時、どれほど真剣に手を差し伸べることができるでしょう。
自分の中に内在する愛を、誰かに共有することで人は霊的に成長します。あなたは誰かを助ける時、自分は助けているつもりでも、愛を共有する貴重な機会をもらい、実は助けられているのです。
人生は、毎朝が霊的成長のための貴重なチャンスの到来です。この混沌とした暗闇だらけの地上世界で、あなたは一筋の光となるべく生まれてきたのです。過去はどうあれ、大事なのは今日です。たとえ社会がどれほど不安や憎しみ、利己心に包まれようと、今日という貴重な一日を善意や思いやり、愛の輝きを誰かに届けるような生き方を実践できたなら、あなたは死後の世界にも続く、永遠の成功者の道を確かに歩み始めています。
今日も最後まで希望発見ブログお読みいただき、ありがとうございました。
Your spiritual friend,Lani
参考文献等:シルバーバーチの霊訓(潮文社)、ベールの彼方の生活(潮文社)、インぺレーターの霊訓(潮文社)、これが心霊の世界だ(潮文社・本文交霊の様子、寓話を引用)、こころが安らぐ本(大和書房)、こころが満たされる本(大和書房)、私はできる!(サンマーク出版)、すべてうまくいく(角川書店)、人生をもっと幸せに生きるために(河出書房新社・記事内の会話を引用)、パワーオブ・ザ・ソウル(JMAアソシエイツ)、コナン ドイルの心霊学(潮文社)、これが死後の世界だ(潮文社)、霊力を呼ぶ本(潮文社)