- 元号も!日本と古代中国との深い絆
- 荘子の名言①期待されていなくても大丈夫!「直木は先ず伐られ、甘井は先ず竭く」
- 荘子の名言②決断は心落ち着いている時に!「人は流水に鑑みるなくして、止水に鑑みる」
- 荘子の名言③人生は流れに身を任せよう!「時に安んじて順に処れば、哀楽入る能わず」
元号も!日本と古代中国との深い絆
古代中国というと、何だかすごく遠い昔で日本とは全く関係がないように思えます。
そこには、広大な土地に多くの国々が割拠し、多種多様な民族が熾烈な争いを続けていました。
明日をも知れない毎日の中で、どうしたら今日という日を生き残れるか、幸せに人生を生きるにはどんな考え方が必要なのか、多くの人々が知恵という知恵を振り絞って懸命に生きていたのです。
やがて孔子や老子、孫子など様々な思考家や兵法家が生まれ、2千年の時を経て、彼らの言葉は今も世界中の人々の大きな影響を及ぼしています。私達日本人の先祖はそんな中国から書物を輸入し謙虚に学びました。
日本の元号も古代中国と深い関わりがあり、古代中国の書「礼記」「春秋」「書経」「易経」「誌経」の五経の中の言葉からとられることが多いのです。
例えば・・・
【明治】は易経の中の「聖人南面して天下を聴き、明に向かって治むる」から。
【大正】も同じく易経の中の「大いに亨るに正を以てす、天の道なり」から。
【昭和】は書経の中の「百姓昭明なり、万邦を協和せしむ」から。
【平成】は書経の中の「地平らぎ天成り、六府三事、まことに治まる」から。
ちなみに【令和】は初めて日本最古の歌集、万葉集から言葉が選ばれました。
今回は中国古典の中でも人生の“視点”を変える面白さに気づかせてくれる「荘子(そうじ)」から、名言を厳選してお伝えします。
荘子の名言①期待されていなくても大丈夫!「直木は先ず伐られ、甘井は先ず竭く」
「直木(ちょくぼく)は先(ま)ず伐(き)られ、甘井(かんせい)は先ず竭(つ)く」
意味:真っすぐな木ほど先に切り倒され、おいしい水のでる井戸ほど、さきに飲みつくされる。
競争社会に生きる私達には、ほっとする言葉です。
なまじ人より秀でた才能があると、一時は重宝がられるかもしれませんが、便利屋のように酷使されることもあります。嫉妬されたり、過度に期待され、その期待に応えようとしたり、自分ができると証明しようとして、心がすり減ります。
平凡な能力な持ち主は周りからさほど期待されないかもしれません。でも、がっかりされることもありません。
周りからどう思われるかなんて、どうでもいいこと。自分らしさや自分の情熱だけは忘れないよう、コツコツとマイペースで生きていければ、幸せですね。
荘子のいいところはこのように、現実を直視しつつ世俗の価値観に惑わされない生き方を説いていて、その言葉に触れると気持ちが落ち着きます。
荘子は心を大きく持って生きる生き方を、そっと後押ししてくれます。
荘子の名言②決断は心落ち着いている時に!「人は流水に鑑みるなくして、止水に鑑みる」
「人は流水(りゅうすい)に鑑(かんが)みるなくして、止水(しすい)に鑑みる」
意味:流れゆく水はざわついていて、人の姿を映し出すことはできない。でも、静止した澄み切った水なら、そのままの人の姿を映しだすことができる。
水は人の心を表します。人生、誰しも決断の連続です。その時に、人の意見に惑わされたり、恐怖や不安な気持ちにとらわれていては、正しい決断ができません。心を落ち着かせているときこそ、正しく決断できます。
静止した澄み切った水ような心を持つことは、きっとそう簡単なことではないはずです。だからこそ、瞑想したり、自然の中に身を置いたり、趣味の時間を大切にするということが大事なのでしょうね。
少なくとも、怒りに任せて決断することだけは、避けましょう。
荘子の名言③人生は流れに身を任せよう!「時に安んじて順に処れば、哀楽入る能わず」
「時に安んじて順に処(お)れば、哀楽入る能(あた)わず」
意味:人生は流れにあわせて生きていれば、哀も楽もなく、心惑わされない。
思い描いた通りにはいかないことが多いのが人生。もどかしく焦ることもあるけれど、人生には胸が張り裂けそうなほどの別れの後、奇跡のような出会いがあったり、可能性の扉が完全に閉ざされたと思ったら、思わぬところから援助の手が差し伸べられたり、遠回りしたからこそ、たどりつける場所があります。
生きていれば、いいことも悪いこともあります。困難は人生の流れの中の貴重な学びの機会だと思いたいものです。
行き詰まったら視点を変え、発想の転換を試みること。これぞ2千年の時を越えて伝わり続けた荘子の極意です。
今日も希望発見ブログをお読みいただき、ありがとうございました。
Your spiritual friend, ラニ
参考文献:「歴史の活力」宮城谷昌光著、「荘子の人間学」守屋洋著、「中国古典一日一話」守屋洋著、「中国古典の人間学」守屋洋著
【この記事は、2020年1月9日に加筆・修正致しました。】