私は、言葉が好きです。
つらい時、壁にぶち当たった時、気持ちが沈んだ時・・・、たった1つの言葉や考え方が、気持ちを楽にし、固く閉ざされていた心のドアをそっと開けてくれることがあります。たった1つでいい。たった一筋の光が差し込めば、『今』を明るく照らしてくれます。
自分の心に感応した言葉は、自分の一部になります。それが視野を広げ、心を豊かにし、『今』この瞬間に輝きをもたらしてくれます。
今回は、人間学の宝庫と言われる『論語』からいくつか言葉をご紹介します。私には古代の人も現代の人も、皆つながっているという人生観があります。どなたかの心の一部にもなれば、とても嬉しいです。
- 論語って何だろう?孔子ってどんな人?
- 【1】過ちて改めざる、これを過ちと謂う
- 【2】己立たんと欲して人を立て、己達せんと欲して人を達す
- 【3】位なきを患えず、立つ所以を患えよ
- 【4】三人行けば、必ず我が師あり
- 【5】小忍ばざれば、則ち大謀を乱る
- おしまいに・・・
論語って何だろう?孔子ってどんな人?
孔子は今から約2500年前の中国に生きた思想家です。紀元前551年、春秋時代の末期に『魯(ろ)』という国に生まれました。孔子は貧苦の中で育ちながらも勉強に励み、政治の道を志します。結局、夢は叶わなかったものの、晩年は弟子の教育に情熱を捧げます。そんな孔子の74年間に渡る生涯の言行をまとめたものが『論語』です。
論語には、人間関係から、政治、リーダー論に至るまで実に様々な分野で理想が掲げられています。弟子たちが師を聖人化するのは古来よくある話ですが、孔子もまたその一人。そのため、何だか近づきにくい印象をもたれることもあるようです。
でも、孔子を知れば知るほど、苦難の中にも決して前向きさを失わなかった不屈の人として人物像が浮かびあがります。
孔子の思想の中核にある『仁』という言葉にあるように、孔子は人を思いやること、常に相手の立場になって物事を考えることをとても大切にした人で、自然の中にいるような落ち着きと話しかけてみたくなるような親しみを感じます。
そして孔子の教えの極みは、いかなる逆境にも自分という人間を見捨てない、まさに自分に向けた『仁』の大切さです。そんな孔子は、人生に大切なことは何だと言っているのでしょう?
【1】過ちて改めざる、これを過ちと謂う
読み:あやまちてあらためざる これをあやまちという
意味:過ちだとわかっていてあらためない、これを本当の過ちという。
いろんな方のブログを拝見していても思うのですが、自分の失敗談を赤裸々に語り、それを前向きにとえらている方って、とても勇気があって誠実な方だなと感じます。自分の失敗を失敗として認め、そこから学び、次にいかそうとしている姿に感銘を受けます。
孔子も、「過ちを犯したら照れたり隠しすことはない。すぐにそれを改めるべくつとめればいい」と言っています。ひどく後悔していることも、そこから学び、前へ進む原動力にしたいですね。
また、誰かが過ちを指摘してくれたら、素直に聞く耳を持ちたいなとも思います。そのためには、普段からイライラしたり短気でいては、周りの人は誰も近づきません。ということは、自分の成長は望めません。周りの人が気軽に話しかけてくれるような人でありたいし、人の過ちにはできるだけ寛大でいたいと思います。
【2】己立たんと欲して人を立て、己達せんと欲して人を達す
読み:おのれたたんとほっしてひとをたて、おのれたっせんとほっしてひとをたっす
意味:自分が立ちたいと思ったら、人を立たせてあげる。自分が手に入れたいと思ったら、まず人に得させてあげる。
孔子の教えの中核をなすのは『仁』という思いやりを表す言葉で、孔子は『仁』の文字をいろんな言葉に置き換えています。この言葉も自分を常に人の立場において、考えてみることの大切さを説いています。
人は結局、人の温かさに魅かれ、近づきます。人間関係において思いやりに勝るものはないということですね。
私が愛読している宮城谷昌光さんの中国歴史小説『孟嘗君』の中にこんな言葉がありました。『人生はたやすい。人を助ければ、自分が助かる。それだけのことだ』
人間関係で大切なのはギブ&テイクなのではなく、ギブ&ギブということだと思います。いずれテイクの部分が必ず何らかの形で返ってくるだろうけど、行動する時はそこまでは意識してはならないのでしょう。簡単ではないかもしれませんが、そこまで意識を高く持っていたいものです。
【3】位なきを患えず、立つ所以を患えよ
読み:くらいなきをうれえず、たつゆえんをうれえよ
意味:高い地位につけないと嘆く前に、自分の実力をつけることにつとめなさい。
孔子は、うまくいかないことを、環境や周りの人のせいにすることを嫌います。向上心を持ち、自分をとりまく全てから学び、自分が望む場所にたどりつくにはどうしたら良いのか考え、今できることをする。自分を鍛えることが大切なんですね。確かに、いくら嘆いたところで、現実は何も変わりません。貧苦の中で育ち、うまくいかないことの連続だった孔子の言葉だけに重みを感じます。
孔子は論語の中で、『速やかなるを欲するなかれ』(人生を焦らないように)とも言っています。心掛けたいと思います。
【4】三人行けば、必ず我が師あり
読み:さんにんゆけば、かならずわがしあり
意味:三人で道を歩いていたとする。他の二人からは必ず教えられることがあるはずだ。
孔子はこの言葉のあと、「優れた人からは積極的にその良い点を学べるし、劣る人からは反省材料を与えてくれる」と付け加えています。
人の良き行いを見習い、悪しき行いを学びとする。人間関係はどこまでいっても、学び合いということですね。それだけに全ての出会いはとても貴重です。
【5】小忍ばざれば、則ち大謀を乱る
読み:しょうしのばざれば すなわちたいぼうをみだる
意味:些細なことにいちいち心煩わされないこと(小さいことに我慢できなければ、目標は達成できない)
日々の生活の中で、腹のたつこと、後悔すること、ひどく落ち込むこと、いろいろあります。でも、視点を大きく持ち、なるべく一喜一憂せずに忍耐力を持って、確固たる目的に向かって進みたいものです。この言葉は、大きな志を持つことの大切さを伝える言葉だとも思います。
私はこうしてブログを書いていますが、ブログには数字的なものがまとわりつくもの。毎日あらゆる数字に心から感謝し、大きな目標に向かって邁進していきたいなと思います。
おしまいに・・・
以上簡単ですが、論語の中から5つだけ言葉をあげてみました。解釈は人によって異なるでしょうし、感じ方も人それぞれだと思います。
つらいことも全て己の人間性を高める糧としてしまう。卑屈にならず、前を向く。孔子はやっぱりとても魅力的な方だと感じます。また、時にこうした古典の言葉に触れてみるのも、生き方を見直す機会としていいな、と書いていて思いました。
尚、参考文献は以下の通りです。
他2冊
中国古典の名言録 守屋洋 プレジデント社
中国古典の人間学 守屋洋 プレジデント社
最後までお読みいただき、感謝しています。ありがとうございました。
Your spiritual friend, ラニ